セグメンテーションとは、市場を特定条件により分類することであり、
ターゲティング(選択と集中)の前提作業となります。専門家ビジネスでは、
サービス内容やその提供方法、営業エリアにより、これを行います。
サービス内容によるセグメンテーションでは、例えば、以下の視点が考えられます。
一方、営業エリアによる方法では、地域特性や人口を基準として市場を分類します。
原則として、都道府県が1つの商圏と考えられますが、
例えば、北海道のような面積が大きい都道府県や、東京や大阪のように1つの都道府県に
複数の大都市がある都道府県については、商圏をより細分化して考えていきます。
※商圏が限られない全国的な事業を展開されている方はこの限りではありません。
なぜ、セグメンテーションが必要なのでしょうか?
市場を分類せずに大きな市場を狙えば、それだけ大きなビジネスチャンスを掴むことが
できるように思われます。ここでその理由をご説明します。
第1の理由は経営資源の有限性です。「人・モノ・金・情報」という経営資源には限りがあります。
限りある経営資源を有効活用して収益を上げるには、得意とする市場にフォーカスして
事業展開する必要があります。その際、何を行ない、何を行なわないか、
どの地域を商圏と定めるかを決定する上で、セグメンテーションが必要となるのです。
第2の理由として、クライアント視点に立つと、全ての人を対象としたサービスは
結局のところ誰の心にも響かないということが挙げられます。
「あれもできます」「これもできます」という、全ての人の全てのニーズを対象としたサービスというのは、
言ってみれば汎用的であり、コンセプト自体が曖昧で不明確となります。
このようなコンセプトが不明確なサービスは、魅力に乏しくクライアントの心を捉えることは
難しいというのは容易に想像できるでしょう。
一例として、行政書士のサービスについて考えてみます。
行政書士のサービスは、一般に2,000~3,000種類あると言われます。あなたが行政書士として、
すべてのサービスに習熟するのは一生かかっても難しいでしょうし、目指すべきでもありません。
名刺や看板に、建設業、宅建業、内容証明、会社設立、遺言作成等と、
いくつもサービスを記載している方がいます。
これは好ましくありません。
例えば、会社設立を依頼したいクライアントは、名刺を受取って思います。
「この先生の専門は一体何なんだろう?建設業とか他がメインで、
とりあえず会社設立も受けてるのかな?
とすると、会社設立の経験はほとんどないんじゃないか?この先生に任せて大丈夫なのか?
まずは経験についてよく聞いてからにしたほうがいいな」
そして、こう聞かれるかもしれません。
「ところで、先生、会社設立は今までにどのくらいされましたか?」
ここで、あなたがまだ数えるほどしかやったことがないとしたら、
失注する可能性が大きくなるわけです。
行政書士で成功している方は、外国人入館手続き専門や建設業専門、運輸専門等、
特定の業種や業務に特化しています。
これは、セグメンテーションにより、該当業務の情報感度が高くなり、
関連するノウハウや人脈も増え、業務効率が高まるためです。
業務の効率化を図り、売上拡大を目指すためには、得意分野へのフォーカスの
度合いを高めること、相互に関連しない業務は思い切って切り捨てることも必要となるのです。